2019年国際カンナビノイド医学協会会議で報告された、カンナビノイド(CBD等)の認知症への効能
2019年の秋、ドイツで3日間に渡り開催された国際カンナビノイド医学協会会議では、カンナビノイド(CBD、THC等)の老人医学と加齢関連の病理学が、名だたる科学者、医師、教育者、企業の代表者が集う中、会議の主要なトピックとして取り上げられました。
CBDやTHCは高齢者にとって安全でしょうか?
現在、高齢者は世界中で最も急速に成長しているカンナビノイド利用層になっていますが、、カンナビノイドは高齢者にとって安全でしょうか?メリットは何でしょうか?
この質問には、イスラエルの研究者で高齢者カンナビノイド臨床ディレクターであるイリヤ・レズニック博士が返答しました。
まず、博士は自身が行っているイスラエルの老人クリニックで、184人の高齢患者を対象とした観察研究の結果について述べました。対象患者の83%が75歳以上のこの研究では、カンナビス療法の開始前に、各患者を包括的に検査し、6か月後に追跡評価を行いました。
研究に参加した人々は、全員がカンナビス療法未体験の人々で、ほとんどが慢性的な痛み、睡眠障害、癌関連の症状、気分障害、パーキンソン病などの加齢に伴う病状に苦しんでいました。
大麻患者の3分の1は、オピオイド鎮痛剤を中止することができました。
被験者の大多数(66%)は、カンナビスオイル(CBD、THC)を舌下投与で使用し、半数が毎日3回服用しました。
研究者らは、カンナビノイドの有効性と共に、認知症や心臓血管への悪影響等の問題が発生しないか観察を行いました。その結果として全員に大きな悪影響は無く、研究に登録した高齢者の3分の1に、めまい(12%)、眠気(11%)、や口の乾燥などがあったに留まりました。
そして、最も評価すべき点としては、6か月間の追跡観察で、患者の3分の1がオピオイド鎮痛剤、および他の鎮痛剤や抗炎症薬を中止できることが明らかになったのです。
高齢者のための医療カンナビノイド処方手順
また、プレゼンでは、イスラエルの権威的カンナビノイド専門医であるAddie Ron博士が、ソロカ大学研究所のクリニックのチームと共に設計実装した医療カンナビノイド処方手順の詳細が紹介されました。
カンナビノイド治療を開始前の準備段階では、高齢者の参加者のケースバイケースのリスクを分析し、ポリファーマシー、神経系障害、潜在的な心血管リスク、および薬物動態変数のため、慎重なアプローチを推奨し。
CBD及びTHCを1日2回服用している患者は、多くの領域で改善が見られました。
「人体に害を及ぼさない」という原則に沿って、カンナビノイドは最少の投与量から始め、目標とした効果に達するまで、7日ごとに5 mgずつ増やしました。
具体的なCBDの処方例:
1〜3日目:5mg THC + 5mg CBD
4〜6日目:THC 10mg + CBD 10mg
7-14日目:15mg THC + 15mg CBD
各患者の副作用と有効性のを綿密にモニタリングしながら進め、目標とする効果を達成したときには、用量はそれ以上増やさず、経過観察を続けました。また、ほとんどの患者は、舌下投与にてカンナビノイドオイルの摂取を選択しました。
CBD処方の結果
患者全員に肯定的な明確な効果を確認する事ができました。
主要な改善項目として認知の改善、体重の増加、便秘の解消、運動量の増加などの改善が見られたのです。
カンナビノイドとアルツハイマー病
世界中では3,500万人がアルツハイマー病と診断されており、この変性神経疾患を治療するための革新的なアプローチが早急に求められる状況にあります。
カンナビノイドは認知症に苦しんでいる人を助けることができるでしょうか?
ハビエルフェルナンデスルイス博士とスペインのマドリードにあるコンプルテンセ大学の研究者グループは、アルツハイマー病における内因性カンナビノイドシステムの役割を調査しています。
会議では同チームより、内因性のカンナビノイドが人体にとって、いかに重要で健康な脳神経細胞を保つために非常に重要な役割を担っているという研究が発表されました。
カンナビノイド受容体は、アルツハイマー病になると制御異常になる。
ドネペジルなどの処方薬の中には、記憶や認知に関わる重要な神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する、アセチルコリンエステラーゼ酵素を阻害することで薬効を発揮するのですが、科学者たちは、カンナビノイドもアセチルコリンエステラーゼを阻害する、同様の作用がある事を発見しました。
さらに素晴らしい事は、カンナビノイド(CBD、THC)が、食欲増進、体重増加、不安感や攻撃性の低下など、他にも様々な効果をもたらす可能性がある事です。
イスラエルの科学者の別のチームは、医療用カンナビノイドの生産者であるTikkun Olamと協力し、無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施、CBDオイルのアルツハイマー病に対する安全性と有効性を確認しました。
この臨床試験には、64名の患者(平均年齢79歳)が参加し、16週間継続して行われました。毎週の健康診断は以下に重点を置いて行いました。
- バイタルサイン
- 温度
- 身体検査
- 血圧
- 脈動
- 身長体重
- 行動障害
- 神経精神医学のインベントリ
- 臨床全体の印象の重症度/興奮-攻撃性
- ミニメンタルステート試験
- 気分(GDSアンケートに基づく)
- 安全試験
- 併用薬
- 有害事象
この研究の終わりまでに重大な副作用は見られず、高濃度CBDオイルを処方された患者の72%は、認知症誘発性の異常興奮など、様々な症状の改善が見られました。結果、研究者達は高濃度のCBDオイルが認知症患者の興奮やその他の有害な行動症状を軽減できる安全な治療法であると確認する事ができたのです。
結論として、、
IACM 2019で報告された研究と臨床経験は、CBD及びTHCオイルの、舌下投与では、高齢者に対するカンナビノイドの強力な有効性と安全性を確認することが主要な確認事項として認識されました。
引用:https://www.projectcbd.org/medicine/its-never-too-late-start-using-medical-cannabis
https://cbdmednews.tokyo/report/96/
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